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ユーザー勉強会レポート|オムニチャネル戦略徹底討論!~リテール業界をOMOしろくする?<パート1:OMO施策編>


2023年6月9日 (金)に、Fireworkとの共催オフラインイベントを開催しました!
MGReユーザーの皆さまをお招きし、「オムニチャネル戦略徹底討論」を実施。Y・T様(以下、Tさん)とM・T様(以下、Mさん)の2名をゲストに迎え、リテール業界をOMOの視点から語りつくしました。

今回は、パネルディスカッションの第1部、OMO施策編の模様をレポートとしてお届けします!

話し手


大手物販チェーン
Y・T 氏
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大手リユースショップチェーン
M・T 氏
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メグリ株式会社
プランナー 篠田 健吾

はじめに

篠田:では早速「リテール業界を面白くする」というテーマで、オムニチャネル戦略徹底討論を始めましょう。

まず、OMOに関連するキーワードを見ていこうと思います。

篠田:「OMO」というキーワードは、アフターデジタル(※1)という本で普及した言葉のひとつかなと思うのですが、オンラインとオフラインを併合・融合させ顧客体験を向上させようという意味合いがありますよね。
そのお客様との接点のひとつが、アプリだったりします。

その他の接点となるキーワードとしては、「SNS」「動画」などがあります。あとは、「チラシ」などにどううまく繋げていくか、という部分があるかと。
これらをうまく機能させるためには、まず1人1人の顧客をどう認識しユーザーとして捉えていくか、が重要です。
集めたデータを分析・抽出し、顧客理解を深めていく、そこが非常に大事なのかなと思うのですが、Yさんはいかがですか?
また、気になるキーワードはありますか?

※1 アフターデジタル: 2019年3月に初版発行された書籍。出版社:日経BP、著者:藤井 保文 、尾原 和啓 

Yさん:そうですね、やはり5番の「店舗」が気になります。
というのも、小売業はコロナが5類になってから、ひどく業績が悪いんですよね。私が仕事で関わっているスーパーやホームセンター事業は、実はこの4、5、6月と非常に業績が悪かったです。
振り返ってみると、この期間はほとんど雨だったんですよね。そうすると、デジタルを使って客様をどのように店舗へ誘客するか、ということがポイントになり、その方法にとても頭を悩ませています。

篠田:なるほど、ありがとうございます。一方で、Mさんはいかがですか?

Mさん:そうですね、業態によって変わってくるのかと思うのですが、私が関わっている企業では1,000店舗弱を抱えているので、やはり「店舗」というキーワードは同じく気になります。

ただ、反対にこちらは絶好調で、4月からずっと約120から150%の伸びを見せている状態です。
複数の事業を展開する中で、最も伸びているのはリユース業界です。なんですよね。この事業は新しくはじめたばかりなのですが、お客様にもニーズの波が来ているので市場自体が伸びていて、同業他社さんも絶好調な状態です。

そんな中でも、やはりデジタルによる売上が約160%伸びており、それなりのインパクトがあるのかなと感じています。

篠田:ありがとうございます。では、「店舗」というキーワードを意識しながらパネルディスカッションを続けていきたいと思います。

セッションテーマ:リテール業界が取り組むべきOMO施策とは?


トークテーマ①:今、取り組んでいるOMO施策とは?

篠田:まず、Yさんに伺いたいのですが、スーパー事業・ホームセンター事業など、購入頻度も違えば品数も全く異なる業種を経験されていると伺っています。それぞれのOMO施策に大きく違いはありますか?

Yさん:まず、ホームセンター事業は売上高が約数千億あり、業界では上位に位置するという会社になります。
また、スーパー事業は売上高が数千億くらいで、業界でいうと十数位となっています。
もうひとつ、アウトドア関連の専門店の展開も行っているのですが、こちらは売上高が1,000憶ちょっとくらいとなっています。

売上高から分かるように事業規模が異なるので、OMOという文脈ではなかなか定義がしづらいというのが前提にあります。かつ、お客様の来店回数が事業によって全く違います。
例えば、年に何回ホームセンターへ訪れますか?多い人でも、恐らく1ヶ月に1回ほどではないでしょうか?

篠田:たしかに、そうですね。

Yさん:本当に、週に1回来店される方は珍しいんですよね。
ほとんどの方が、大体1か月半から2か月に1回くらいの来店頻度です。

逆に、スーパーでいうと、1ヶ月半に1回の来店頻度の方って、ほぼお客様ではないんです。こういう言い方だと失礼になってしまいますが、せめて10日に1回くらいの頻度で来店していただきたいんですよね。

そんな中、アウトドア関連の専門店の方は、春夏秋冬のタイミングに加えて、毎月来店されるお客様もいらっしゃいます。

このように購買単価や購買回数を見ているのですが、それらのデータが事業をまたいで横展開できる状態になっていないので、それぞれバラバラの施策を実施しているというのが実態です。

また、今ご紹介した事業の中で、スーパー事業のアプリをメグリさんには作っていただき、約3ヶ月で3桁万人以上のお客様を集めることができました
「来店頻度」という部分に非常にこだわったアプリを一緒に考えていただき、本当にお世話になったと思っています。

篠田:いえいえ、こちらこそありがとうございました。

Yさん店舗を持っているところは、やはり店舗に来てもらった方がよいと思いますね。

現在のスーパー事業では、いわゆる「ピックアップ」と言われる、ECで注文し店舗で受け取る、というサービスを展開しています。
ECで注文して店舗で受け取る方は、ECのみで買い物をする方に比べて売上金額が約2倍なんですよ。店舗に来ると自身がECで注文した商品以外にも目移りをして、色々な商品を買ってくれるんです。
だから、店舗を持っているところは、やはり店舗に来てもらった方がよいと感じていますね。


トークテーマ②:来店促進のためのOMO施策とは?

篠田:次に、来店促進のためのOMO施策について伺わせてください。
来店促進を実現するためには、店舗に対してどうチャネルを使って購入頻度を上げていくか、という点が重要といえるのでしょうか?

Yさん:そうですね。リテール業界って、結局するべきことが3つくらいしかないんですよ。
一つ目は、今来てるお客様に新しいジャンルを買ってもらう。
二つ目が、かつて来ていたけど来なくなった方に対して買ってもらう。
三つ目は、全く来ていない方に対して買ってもらう、という内容です。

色々なコンサルの方のお話を聞いてみると、ほとんどが三つ目の「新規顧客を獲得していきましょう」という提案をしてくれます。しかし、コロナ禍を経て小売の実店舗への客足が戻らない中、それほどうまく新規獲得とはいかないですよね。

私たちが一番力を入れているのは、実は一つ目と二つ目で、特に一つ目の「既存のお客様に他の商品を購入いただく、という取り組みを行っています
今まで購入した商品をこちらで把握しているので、「関連商品もいかがですか?」などのレコメンド施策が可能です。あるいは、最近流行りのリテールメディア(※2)というものを使って、この商品を買った方に対しては他の商品をオススメする、という施策もあります。

でもこれって、昔からある通信販売の会社が行っていることとあまり変わらないんですよね。DMを送って、この商品を買った方には別のDMを送る、というように、本質は一緒です。
やり方自体がデジタルに変わっている、というだけだと思います。

また、二つ目は、かつて来店していたお客様がよそに行ってしまった訳ですよね。なので、その方たちにどうやって戻ってきてもらうかを考える必要があり、三つ目の方は最後に考えればいいんです。

※2 リテールメディア:ECサイトや店舗アプリ、店頭に設置されたサイネージなどを活用して小売企業が運営するメディアのこと。


篠田
:ありがとうございます。
そうですね。僕らのお手伝いしたアプリだとアパレルのお客様が多いのですが、セールのときや季節ごとなど、年2回しかこないお客様に対して、もう1回買ってもらうためにはどうすればよいか、ということを皆さん考えていらっしゃいます。

とはいえ、1年を通して購入機会は数回しかないので、ほとんどの期間がナーチャリング期間(※3)になる訳です。しかし、「買って!買って!」というプッシュをするだけでは、うっとうしいだけになってしまう…。
なので、このナーチャリング期間内にどれぐらい圧をかけずに覚えていただけるか、というコミュニケーション施策を考えていらっしゃるアパレルさんが多いな、と感じています。

※3 ナーチャリング期間:見込み顧客を購入する状態まで育成する期間のこと。

Yさん:はい、私もそう思います。
店舗に来るのがセール目当てのお客様だけ、ということになってしまうとよくないですよね。新作を定価で買ってもらいたいのに、プッシュ通知などで商品だけチェックしていてセールになってやっと購入してくださる、というお客様もいらっしゃいます。

そうすると、プッシュ配信って意味がないのか?と思われるかもしれないのですが、意味があるんですよ。
プッシュ通知がないと、お客様にブランドの存在を忘れられてしまうんですよね。人間って非常に忘れるのが得意なので…。
スーパーのチラシがなぜ無くならないかというと、常にお客様に覚えていてもらうためです。

ユニクロさんも、よくチラシを配布していますよね。LINEのプッシュ通知もよくされているかと思うのですが、あれもお客様から忘れられないようにする施策のひとつかと思います。

篠田:ありがとうございます。次に、Mさんにお話を伺いたいと思います。
リユース事業ということは、お客様から商品を買い取ってそれを販売するという、リテールの中でも変化球な形態かと思います。さらに、商品がどうしても一点ものになってしまう難しい事業形態の中で、OMOをどのように実現されていますか?

Mさん:そうですね。私たちがやろうとしていることはYさんのところと同じで、リピーターのお客様にどれだけ来ていただけるか、に力を入れています。

店舗への来店頻度は年に数回なので、ほとんどの方がセール期や季節物の切り替えタイミングなどで来店されます。そのようなお客様にどれだけ多く来店していただくか、という取り組みに注力していますね。

先ほど、スーパーでのピックアップのお話が出たので、あわせて私たちのeコマース戦略のお話をさせていただきますね。
私たちは、店舗受け取りではなく、取り寄せにて対応を行っています。基本的に一点ものなので、商品を取り寄せてもらって店舗で見てもらう。他の商品も見てもらいながら、取り寄せによって来店頻度を上げるという取り組みをしています。

また、リユース商品は基本的に一点ものなので「今買わないともうなくなってしまうかも…」というプッシュがかけやすいですね。これで、さらなる来店動機を作れるんです。

Mさん:私も経験があるのですが、アパレルの場合だとやはりシーズン性がポイントになります。シーズンにあわせて施策を実施していくのですが、リユースの場合だとシーズン性に加えて一点ものという部分で、「今買わないともうチャンスがないかも…」という営業スタイルが可能になるんです。

結果、お客様の来店頻度を上げるきっかけになるので、この流れを理解してお客様にいかにアプローチするのか、というところが一番大きな取り組みになるかと思います。

某大手小売に在籍していた時のお話もさせていただくと、当時もネットスーパーで購入して店舗で受け取る「ピックアップ」の仕組みを作りました。また、車で取りに来られるドライブスルー型をやったこともあります。
なぜこのようなことをしたかというと、お客様が不満に感じられるポイントがあったんですね。

それが、レジを待つ時間がとても長いという点です。土日祝の夕方だと、30分から1時間待ちは当たり前でした。
このお客様の不満をどう解消するかがポイントとなっており、上記のようなOMO施策を考えていましたね。

篠田:リユース事業だと、希少性がポイントになってきますよね。店頭でたまたま見つけるというより、全国の店舗のどこかにあるものを見つけて取り寄せていただく。そして実際に見定めてもらう、という流れかと思います。そうすることで、お客様との接点が作れそうですよね。

Mさん:数百店舗を超えてきた際にOMOの施策として重要なのは、店舗と異なる魅力をどれだけECで作れるか、というのが一番のポイントかなと思います。
某大手小売のときも、ECでは基本的に店舗で売っていない商品の購入・予約ができたり、地産地消の商品の取り寄せができたり、ECでしかできない事を導入して売上を伸ばしていました

今回のリユース事業も、やはり店舗によって全部品揃えが違うので、ECを通して全国の店舗の商品を見てもらえたらと思います。
さらに、店舗でしか取り扱っていない商品も実はあるんです。なので、店舗に行ったらそこにしかない商品に触れられる。

この「EC」「店舗」の二つの基軸を作って、両方の強みを活かす取り組みをしています。結果、非常に客足を伸ばす良いきっかけになっていますね。

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篠田
:店舗に来たら来たで、そこに新しい出会いがあって楽しい、という体験を作り出しているということですね。

さいごに

今回のテーマは【OMO施策編】ということで、リテール業界の最新OMO施策について議論を深めました!
ぜひ、第2部と第3部もあわせてご覧くださいね😊

▽▼▽第2部:SNS運用編▽▼▽

▽▼▽第3部:リテールメディア編▽▼▽

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