ユーザー勉強会レポート|オムニチャネル戦略徹底討論!~リテール業界をOMOしろくする?<パート2:SNS運用編>
2023年6月9日 (金)に、Fireworkとの共催オフラインイベントを開催しました!
MGReユーザーの皆さまをお招きし、「オムニチャネル戦略徹底討論」を実施。Y・T様(以下、Tさん)とM・T様(以下、Mさん)の2名をゲストに迎え、リテール業界をOMOの視点から語りつくしました。
今回は、パネルディスカッションの第2部、SNS運用編の模様をレポートとしてお届けします!
話し手
セッションテーマ:SNSや動画をどのように活用しているのか?
トークテーマ①:オウンドメディア活用について
篠田:オンライン活用の中に、SNSや情報を伝えられやすい動画があるかと思います。Yさんたちの会社は、オウンドメディアをうまく活用されていると聞いたことがありますが、いかがでしょうか?
Yさん:そうですね…。まず伝えたいのは、オウンドメディア施策ってお金がかかるよね、ということです(笑)。
ただ、今や集客に大きな効果があるので止めようにも止められないんですよね(笑)。
オウンドメディアには、2016年頃から会社グループ全体で取り組んでいました。ただ、一部の事業会社はお金にならないため途中で離脱しています。しかし、アウトドア関連の専門店事業だけはやり続けた。結果、今や公式アンバサダーまで出てくるくらい大きくなりました。
オウンドメディアも含めてですが、自分たちでSNSや動画をやっていくのは、本当に大変なんですよ。
やはり店舗が忙しすぎて、そんな余裕がないんですよね。なので、基本的にはSNS投稿も動画も本部ですべて対応しています。
加えて、店舗に任せるのはセキュリティ上どうなの?というお話もありまして…。自由に店舗で何かする、ということは現状していないですね。
これがチェーンオペレーション(※4)の良し悪しだとは思うのですが、店舗は基本的に「売ること」に徹してもらっています。もちろん仕入れもやっていません。つまり、店舗は売るための接客だけでOKということです。動画を活用して接客の一部をまかなう、という方法もあるかと思いますが、現状はそこまでは至っていませんね。
Mさん:私たちも一緒です。僕もやっぱり大手小売業界に居たとき、どうしてもSNSや動画などをやりたくて。でも、チェーンオペレーションの中で、コンテンツ制作の時間を作るっていうのが、なかなか難しいんですよね。
トークテーマ②:うまくいくSNS活用とは?
Mさん:今の会社でSNSや動画に関して実施できていることは、海外インフルエンサーの方の力を借りて、越境ECをやるという施策です。
いわゆるハイブランドと呼ばれる高額商品のラインナップを、海外インフルエンサーの方たちの力を借りてPRしています。これが、現状SNSを使って売上げが立っている唯一の施策ですね。
ただ、唯一といっても年間で約10億円の売上があるので、わりとインパクトがあるなと感じています。
篠田:やはり大きなプロジェクトとして、会社が一丸になって進めていくのが不可欠ですよね。
Mさん:先ほどYさんもおっしゃっていましたが、やっぱり店舗にコンテンツ運用をしてもらうのって本当に難しくて…。
本社やパートナーさんが運用をメインで行わないと、チェーンオペレーションのところは機能しなくなる印象ですね。
逆に、アパレルはアイドルタイム(※5)があるので、そういう意味でコンテンツ運用を行いやすいのかな、と思います。
篠田:そうですね。MGReもアパレルのお客様が多いので、InstagramなどにSNS投稿をされているのをよくお見受けします。
加えて、STAFF STARTさんなどを導入してアプリ内にコーディネート情報を統合し売上につなげていく、という施策を実施していますね。(※6)
また、店舗スタッフさんも上記経由の売上げが立った際に、インセンティブがもらえるという仕組みのお客様もいらっしゃいます。
また、MGReのお客様であるバロックジャパンリミテッドさんの場合は、カリスマ店員の方がインフルエンサーとしての役割を担っています。全国の店舗を回ってSNSの発信方法や動画の作り方など、お客様に刺さるコンテンツをどう作っていくかを啓蒙されてらっしゃるんですよね。
このように、店舗からの情報発信を極めることで、ECが活きてくる。そして、結果として年間約2回の購入頻度を3回、4回とあげられているのかなと感じます。
このように、業種によってもやはりコンテンツ運用の取り組み方は違ってきますよね。
Yさん:会社の方針ってきっとあると思うんですよね。
もちろんアパレルの会社で、店舗スタッフがコーディネートをSNSにあげて…という方法で成功しているパターンもすごく多いと思います。
一方で、SNSを通して某お寿司チェーン店が問題になったりと、リスクがないわけではないと感じるんですよね。
そのあたり、Mさんたちはいかがですか?
Mさん:私たちも、店舗スタッフはコンテンツ運用をやっていないです。もう本当に、全く時間がないですね。
トークテーマ③:店舗におけるコンテンツ運用の鍵とは?
Mさん:大手小売業界のときのお話をさせていただくと、私がいた会社は全コンテンツにおいて検閲していましたが、現在はプラットフォームが入っており、検閲していないそうです。
ただ、評価に繋がっていないので、店舗側のモチベーションになっていないという課題がありましたね。
篠田:そうですよね。MGReのお客様を見ていても、店舗スタッフにすべて任せている会社さんと、ブランドの価値を発揮するために投稿のクオリティを本部でチェックしている、という会社さんがいます。
加えて、評価に関する課題はよくあがっていて、店舗とECがバッティングするというか、お客様の取り合いの構造になってしまっているんですよね。
きちとん店舗とECの相乗効果で売上があがっている、という点をきちんとフィードバックしてあげられる仕組みづくりが重要かと思います。
Mさん:ちなみに、前にいた大手小売は、店舗の頑張りがボーナスに反映されていました。
インセンティブ支給のテーブルが決まっていて、そのテーブルを超えるとボーナス2回分、というような仕組みです。
篠田:やっぱりその辺の動機がきちんとないと、店舗側もなかなか力が入っていかないですよね。
Mさん:本当におっしゃる通りで、インセンティブ制度がないと本業が接客で副業がコンテンツ運用、みたいな感覚になってしまうんですよね。
どんなスタッフも経営面を考えて最大限の能力をコンテンツ運用に発揮する、というのが理想なのですが、チェーンオペレーションは本当に時間がない。きっちりスケジュール管理をしている状態の中、なかなかコンテンツ運用に時間が割けないんですよね。
かつ、いざコンテンツ運用をしようと思うと、あえて固まった時間を作り出さなくてはいけない。結果、売上げが立たないとなってくると、全然意味がないんですよね。
だから、やっぱり業態によってコンテンツ運用の方法は変えていかなきゃいけないのかな、と思います。
篠田:MGReのお客様も、コーディネートの写真などを投稿する際は、業務としてきちんと時間をとってやりなさい、という指導をされていました。
Yさん:私たちの専門店事業で行っている「アンバサダーマーケティング(※7)」というのは、実は一番正解に近い形なのではないかなと思っているんですよ。
私たちの専門店事業の場合、約99%がフランチャイズ店です。
なので、当然コンテンツ運用なんて着手できる時間はありません。むしろアンバサダーを名乗る外のお客様がSNSにコンテンツを上げてくれることを、ありがたがっています。
かつ、売れた商品に対して何かインセンティブをあげるというよりは、新しい商品を差しあげる、などの対応をしていますね。
いわゆるエコシステムが回っている良い事例だと思っています。
Mさん:それって、ECで新商品が入ったときに、アンバサダーの方が自主的にSNSなどに投稿してくれるんですか?
Yさん:いえ、基本的にはこちらから商品を郵送で送ります。送って、感想をお願いします、という形です。
しかも、ありがたいことに非常に人気がありまして、SNSに動画を上げた瞬間に店舗に商品の在庫がない状態になるんですよね。
Mさん:ええー!!それは本当にすごいですね。
Yさん:しかも、基本的に売れているからという理由で再生産はしないんですよ。入荷が1回で終わりなので、本当に欲しければ来年まで待ってくださいね、というスタンスです。なので、余計にお客様は枯渇感が出るんだと思います。
かつ、基本的にはセールを一切しませんし、アウトレットもありません。そのため、在庫を抱えないために売り切らなくてはいけないので、現場は戦々恐々としていますよ(笑)。そういう環境の中で、SNS投稿などをアンバサダーと言われる外部の方がやってくれるのは、非常に良いですね。
篠田:そういえば、ECでの注文をすべて店舗で受け取る、という仕組みを導入されていますよね。
Yさん:そうですね。この仕組みができるまで、ユニクロの動きに注目していましたね。
最近、ユニクロのECで買い物をしたのですが、前は到着まで約1週間だったところが約3日で届きました。相当、改善されたと思うんですよね。
当時、ユニクロを見ていた私たちは、やっぱりECと店舗を両立させるのは無理だよね、と考えていました。だったら、どちらかに寄せた方が良いよね、ということでECでの注文がすべて店舗受け取りになったんですよね。
Mさん:大手小売でECを担当していたときに、一番初めに言われたことが「交通弱者の方たちに商品をどう届けるのか、本気で考えろ」ということでした。
これが最重要課題だったので、店舗受け取りを実施した際、店舗からは喜ばれましたが、最重要課題を叶えているか?という部分で本部からはとても怒られました(笑)。
この命題を会社として決めたのが、2011年の東日本大震災のときでした。店舗に来られないお客様に対して、本気で商品を届けたいとなったんですね。
だから、ちょっとYさんの意見とは違ってくるのですが、私が約15年間ECの運用をしていて「絶対に届けることをやめない」という強い想いはありますね。
篠田:なるほど、熱いお話をありがとうございます。
さいごに
今回のテーマは【SNS運用編】ということで、リテール業界の最新SNS活用事例を紹介しました!
ぜひ、第1部と第3部もあわせてご覧くださいね😊
▽▼▽第1部:OMO施策編▽▼▽
▽▼▽第3部:リテールメディア編▽▼▽
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