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もしもスーパーマーケットのアプリを作ることになったら(前編)

メグリでプランニングを担当している篠キチです。

タイトルを見てわかるとおりドリフ大爆笑とか大好きだった典型的なドリフターズ世代です。タイトルを見てもわからなかった人はこれを見ることをオススメします


さて、僕の仕事はアプリのプラットフォーム『MGRe(メグリ)』を作ることなんですが、それを使ったアプリ自体の提案もやってまして、それはもう100本どころじゃない規模でしてきてます。いや、そんなにないかも。ウソかもしれない。まあでも、いっぱい提案してます。

MGReは最初のクライアントがPatagoniaさんだったこともあって、アパレル業界への導入事例が多いんですが、最近増えてきてるのがスーパーマーケットやドラッグストア、ホームセンター業界からのアプリ導入相談です。

そんな時代の流れ(?)を受けて、今回はスーパーマーケットのアプリを考えるときよくある話を元に、仮想スーパーマーケットへの提案を妄想しながら書いてみたいと思います。妄想は得意な方です。


どんなスーパーマーケットか妄想してみる


とりあえず妄想用のスーパーの設定を考えてみます

  1. POSレジでバーコードを読み取るタイプの、プラスチックのポイントカードが導入されている
    サービスカウンターで申込用紙に必要事項を書くと発行してもらえる

  2. 100円のお買い物ごとに1ポイントが貯まり、500ポイント貯まるとレシートと一緒に500円のお買い物券が出てくる

  3. 特定の商品をお得に買えるクーポンが、レシートと一緒にでてきたり店頭で配布されてたりする

  4. 毎週水曜日は冷凍食品40%引き、毎日20時以降は総菜30%引きのようなお約束のセールがある

  5. ECサイトはあるけど、ギフト品が買えるくらいであまり力をいれていない

  6. ネットスーパーはAmazonネットスーパー(あるいは楽天全国スーパー) を最近始めた

まあ、ありそうな感じじゃないでしょうか。


プラスチックのポイントカードをアプリ化する

まず、アプリを導入するきっかけになることが多いのはこれです。既存のプラスチック製ポイントカードのアプリ化

なぜスーパーマーケットの方々がこれをやりたいと思うのか、理由とか課題感を挙げてみると

  • プラスチックカードの製造コスト、店舗への配布や管理のコストがばかにならない

  • プラスチックカードだと入会を断られてしまうケースが増えてきている

  • 紙で申込を受けるサービスカウンターの人の負担が大きい。

  • 紙の申込用紙をシステム登録するのに手間・時間がかかる

  • 苦労して会員情報を集めても、活用できていない

  • 同じ人が何回もポイントカードを作り直すのを防げない

こんなところでしょうか。これらは妄想と言うより、実際に僕がよく耳にしている話です。
こういったことをアプリ化することで解決できるなら検討したい、ということですね。


まず最初の製造コスト、店舗への配布コスト等の件はアプリ化が貢献しやすいところです。導入を機にプラスチックカードの新規発行をやめて、アプリ上で発行できるように作れば、これらのコストをまるまる削減できます

発行時の会員登録もアプリから行えるようにすれば、サービスカウンターの方の手間もなくなりますし、そのあとの入力作業もなくなります。この人的リソースの削減効果も意外と見逃せません

ユーザー側にも財布にカードを増やさなくて済むメリットがあります。キャッシュレス利用がどんどん広がっていく中、財布に新しいカードが増えることの抵抗感は強くなっています。アプリ化されていればその敷居を下げることができ、入会を断られるケースの回避策にもなり得ます。


ただ、これを実現しようと思ったときによく課題として出てくるのが

  • スマホを持っていないシニア層に受け入れられないのでは?

  • 現行のポイントカードの会員登録がネット経由ではできない

という点です。

このうちスマホ非所持のシニア層への対応については、プラスチックカード自体の運用を完全に0にはせず、個別対応するかたちになることが多いと思います。
基本はアプリをご案内するかたちに切り替えつつも、希望される方にはサービスカウンターでのカード発行を続けるというものです。
アプリ化の際にもプラスチックカードの会員システムをそのまま使い続ける形であれば、通常は特に難しいことはないと思います。

ただ、スマホを使ったキャッシュレス決済もコロナ禍でシニア層に一気に普及しましたし、シニア層のスマホの普及率が低いというのはすでに単なる思い込みになりつつあります。この点は時間が経てばどんどん解消されていく話なので、あまり神経質になる必要はないと考えています。


スマホ普及率は60代ですでに9割以上、70代でも8割を超えている
(NTTドコモ モバイル社会研究所 モバイル社会白書Web版(2022年版) 第1章 携帯電話の所有・利用状況より引用)


もう1つの「ポイントカードの会員登録がネット経由ではできない」という点は、課題としてはやっかいです。
ネット経由で登録ができないということは、アプリ向けにポイントカード番号を新規発行する仕組みが用意できない、ということとほぼ同義です。なんかもう、致命的な匂いがします。

もちろんこのタイミングでポイントカードのシステムを刷新するというのも手ですが、コストもかかる話なので簡単には決められませんし、かといって既存システムのネット対応やアプリ向けの新規発行機能が用意されることに期待するというのでは他力本願過ぎる感じがします


アプリにポイントカード発行システムを用意する

こういう場合の対処法の1つとして、アプリ用に新規カード番号をまとめて大量発行してもらい、アプリのシステム側に預けてもらうという方法をとることがあります。

プラスチックのポイントカードを製造する場合、システム側からカードに印刷・印字するための番号をまとめて発行して提供しているはずですが(そうじゃないと、できあがったカードが有効なポイントカードにならない)、これと同じ要領でアプリ用に番号をまとめて発行してもらうのです。

アプリ側はこれをシステムに保管し、アプリの新規ユーザーに1つずつ預かった番号を発番していきます。

POSレジはバーコードを読み取るだけなので、それがプラスチックカードに印刷されたものなのか、アプリの画面に表示されたものなのか区別しませんし、元は同じシステムから振り出されたカード番号なので既存の仕組みを変えることなくそのまま運用可能です

このやり方の場合、アプリはポイントカードそのものの発行はしますが、会員管理はしていません。無記名のポイントカードをアプリのシステムが発行していく仕組みです。
そのため会員管理自体は既存のものをそのまま使う想定になります。


ただ、元々の懸案事項はポイントカードの会員登録手続きがアナログのみということだったので、解決策も若干アナログなやり方になります

一例としてアンケートフォームを流用した簡易な会員登録の仕組みを用意して、登録内容を毎日既存のポイントシステムに送るとか、担当者が適宜ダウンロードして既存システムに取り込むとかでもいいかもしれません。
紙ベースで運用しているシステムの流用なので、ここをあまり大仰なシステム開発の話にするのは合わないと思いますし、これまで手入力だったものが入力済みデータとして担当者に渡されるだけでも相当負担は減るはずです。


あともう1つ、思い切った割り切り策としてアプリのポイントカードの会員登録はあきらめる、という手もあります



…というところで、話はまだまだ序盤なんですが、残念ながらここでお時間となってしまいました。この続きは次回「もしもスーパーマーケットのアプリを作ることになったら(中編)」でお会いしましょう。


この記事のこの段階で「メグリにアプリの相談してみたい!」って思う方はなかなかいないと思いますが、ご相談はいつでも受付しておりますのでお気軽にお問い合わせください