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激論!リテールメディアの現在と未来~ドラッグストア編~|セミナーレポート

リテールメディアの現在と未来、今回は【ドラッグストア】業界のお話です。2023年12月6日、ドラッグストア業界におけるリテールメディアの課題や将来性について、ICT活用研究所 代表 郡司氏をお招きして伺いました。

話し手

田代 健太郎 代表取締役 / MGRe 新卒でSIERに入社し、R&D部門に従事。2003年株式会社メンバーズ入社。大企業のWebサイト構築にエンジニア、プロジェクトマネージャーとして従事。2007年メグリ株式会社を創業。企業のWebサイトやアプリの受託開発実績を重ね、2020年 SaaS型アプリマーケティングプラットフォーム「MGRe」のサービス提供を開始。

店舗のICT活用研究所 代表 郡司 昇 氏
全体最適なDXに関して悩みがある企業のお手伝いをして、その先にある顧客体験を向上することが仕事です。薬剤師ということもあり、前職は大手ドラッグストアのココカラファインに所属していました。マーケティングとEC 事業の責任者としてグループ統合マーケティング戦略を立案・実行。現在はIT企業のCRM,AI,データなどの小売業活用および小売企業のデジタル活用による業績向上についてのアドバイスを主にしています。

リテールメディアとは?


■出典:セミナー資料より抜粋

田代:リテールメディアとは、ECサイトや店舗向けアプリ、店頭に設置されているサイネージなど、リテール企業が持つお客様との接点を形成するメディアです。

これらのメディアは単に顧客と接点を持つだけでなく、広告を配信する可能性も秘めており、非常に注目されています。

■出典:セミナー資料より抜粋

例えば、ファミリーマートのサイネージやセブンイレブンが開始したリテールメディアのような事例がメディアでもよく取り上げられています。

これらの店内サイネージや店舗用アプリにメーカーの広告を配信することは、店頭での購入を促進し、ID-POSデータを活用して顧客の嗜好に合わせた広告を出すことが可能です。これがリテールメディアの大きなポイントです。

■出典:セミナー資料より抜粋

アメリカでは、リテールメディア市場が急速に拡大していることは多くの方がご存知でしょう。

検索エンジンやSNSなどの市場に次ぐ、第三のデジタル広告の波として注目されています。

実際、今年のアメリカのリテールメディア市場は約6兆円に達すると予測されています。これは、国内の宣伝広告市場全体が7兆円であることを考えると、米国におけるリテールメディア市場の規模がいかに大きいかが分かります。

ただし、アメリカの市場は、Amazonやウォルマートのような大手リテール企業が市場の大部分を占めており、国内市場とは大きく異なる状況にあります。

この点についてもディスカッションで話し合えればと思います。日本独自の環境をどう構築し、事業化していくかは重要なポイントです。

リテールメディアの注目が高まっている背景


■出典:セミナー資料より抜粋

さて、リテールメディアが注目される背景には、大きく3つの理由があります。1つ目は、テクノロジーの発展・浸透です。

次に、コロナ禍による購買行動のオンライン化です。EC化率の上昇は、実生活でも感じられると思います。

最も大きなポイントは、サードパーティクッキーの規制です。多くの方がご存じの通り、サードパーティクッキーとは、ウェブサイトの閲覧情報を第三者が取得できる仕組みです。これにより、第三者が誰が何をしているかを追跡できるようになっています。

このサードパーティークッキーが、今までのような活用が難しくなります。

そういった背景の中で、リテール業者が持っているデータが広告配信に非常に有効だとされています。これがリテールメディア市場の追い風になっていると言われています。

またリテールメディアが注目されているポイントは、生活者と生活者に広告を配信する企業、メーカー、そして運営するリテール企業の3者にとって、それぞれメリットがある点です。

メーカーにとっては、サードパーティクッキーに関する議論がある一方で、IDベースのデータや、リテールが保有する顧客の趣味や思考に関する詳細なデータを利用してのターゲティングと広告配信が重要になっています。

個人を特定できれば、広告の効果を追跡し、最終的には実売やライフタイムバリュー、継続購買に至るかを分析できるとされています。これは、メーカーにとって注目すべきポイントです。

また、消費者にとっても、自分の好みに合ったコンテンツや商品に出会うことが重要です。毎年、市場には大量の新商品が登場しますが、実際に自分に合った商品に出会う可能性は低いものです。この点を考慮すると、リテールメディアは大いに期待されています。

以上、リテールメディアとは何か、その背景や重要ポイントについて簡単に説明しました。これからは、郡司さんと共に、私から郡司さんへのさまざまな質問を通じて、皆様に有益な情報を提供できればと思います。

それでは、郡司さん、引き続きよろしくお願いします。

■出典:セミナー資料より抜粋

田代:現在のリテールメディアの状況や、実際に取り組んでいる企業についての課題等に関して、郡司さんの考えをお聞かせいただければと思います。

郡司さん:まず、リテールメディアとは、メディアの役割に関する話です。メディアの役割とは何かというと、例えば、AからGまでの7つの商品やサービスがある場合、初めての消費者は、まずはその存在自体を知りません。

■出典:セミナー資料より抜粋

そのため、まずはそれらを知ってもらうことが重要です。BからFまでの商品を宣伝したとします。そして知ってもらうことによって、初めてBからFの5つの商品が売れる可能性が出てきます。

■出典:セミナー資料より抜粋

次に、Fが顧客の好みに合わずに売れる可能性が除外され、BからEまでの4つに絞られたとしましょう。さらに絞り込まれて、最終的にはCかDのどちらかになります。この場合、売れる確率は1/2になります。

メディアはこのような役割を果たしています。

日本にも検索連動広告が存在します。代表的な例としてはZOZOTOWNが挙げられます。ZOZOTOWNでは、検索に応じた商品とともに、関連する広告も表示されます。

たとえば、50代の男性がジャケットを探している場合、それに関連する広告が表示されるため、不快に感じることはほとんどありません。

したがって、ECサイトにおける検索連動広告は積極的に行うべきです。ただし、日本のEC市場はアメリカのような規模には遠く及ばないため、その点を考慮する必要があります。

ウォルマートのEC部門は、年間3兆円以上の売上があるとされています。これは日本のAmazonと同等の規模です。ウォルマートと比べると、イオンやセブンイレブンは約1/100の規模になります。

そのためITベンダーは、単一企業だけでは広告の獲得が難しいと考えています。

■出典:セミナー資料より抜粋

例えば、大手メーカーからの広告収入があったとしても、それを1社だけで運営するのは困難です。そこで、小売店にデジタルサイネージを設置し、そこで広告を配信することを目指しています。

これは以前から行われている方法で、最初はうまくいくものの、途中で問題が発生することがあります。

その主な理由は、広告が十分に入らなくなることです。これは、メーカーと小売店の間の論理の違いに起因します。メーカーには営業部と宣伝部があり、営業部は小売店に対して営業を行います。これは消費者ではなく、小売店に対する営業活動です。

宣伝部の人たちは、広告代理店と連携して、CMの放映、リスティング広告の掲載、YouTube広告の配信などを行っています。しかし、営業部と宣伝部は予算と目標が異なるため、実際にはあまり協力しないことが多いです。

■出典:セミナー資料より抜粋

メーカーの広告予算は宣伝部が管理し、広告代理店を通じて広告を制作・配信します。

一方、メーカーの営業部は、会社によってはカスタマーマーケティングとして子会社化されていることもあります。ここでいう「カスタマー」とは、生活者ではなく、商品を仕入れる小売業者のことです。彼らが管理する広告予算は通常、非常に限られています。

つまり、営業部は商品の取り扱い交渉や販促物を提供するための予算は持っていますが、メディア向けの広告予算は持っていません。

また、小売業者は自社で売りたい商品を事前に決定しています。具体的には、利益が最も高い商品、同じカテゴリー内であれば特に利益率の高い商品を優先して販売したいと考えています。

本社が、例えば大手メーカーからの広告費を利用してメディアを導入すると、店舗の運営部からクレームが入ることがあります。

「うちではDを売ろうとしているのに、Aの広告を店頭で流されたら売りにくいじゃないですか」というようなクレームが実際によくあります。

このような状況で、最終的に上手くいかなくなることが、実は歴史上何度も繰り返されています。そのため、実店舗の店頭でメーカーの宣伝広告費を活用しようとする試みは、実はそんなに単純な構造ではないということが、本来の課題、または構造上の課題だと思います。

田代:ありがとうございます。今の課題に対し、うまく解決しているような事例はありますか?

郡司さん:一部で成功している例として、マツキヨさんがあります。これは4年前のGoogleの記事で、メーカーとマツキヨが共同で行った販促活動「Matsukiyo Ads」が売上と来店数の増加に繋がっているという内容です。

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マンダム「ギャツビーボディペーパー」は、Matsukiyo Ads で動画広告を配信し、高い購買率を実現しました。

成果については、アプリ会員の4%が購入したことです。これは一見少ない数字に見えますが、その年は冷夏だったため、購買率としてはかなり高いものでした。このような事例がいくつかあります。

この際、特に重要なのが組織の体制です。広告代理店と小売が別々に機能しているとお話ししましたが、このケースでは小売側から広告代理店に積極的に関わり、調整を行いました。すべての統括をマツキヨさんが行ったのです。

このアプローチを繰り返し、成果が出始めると、商品部なども最初から会議に参加し、協力してくれるようになります。

田代:社内だけでなく、社外の広告代理店やメーカーなど、様々な関係者を巻き込んで進めることが一つのポイントということですね。

郡司さん:そのとおりです。またメーカーの宣伝部にとって、どの広告が消費者に響くかを測定することは非常に重要です。

■出典:セミナー資料より抜粋

例えば、YouTubeのクリエイティブをAからGまで作成し、どれが最も効果があったかを測定することができます。CとDが良い結果を示せば、その二つを中心に展開することになります。

効果測定がなければ、どの広告を採用すべきか明確にはわからず、スピードも落ちてしまいます。特に季節商品の場合は、旬が過ぎてしまう前に迅速な効果測定ができることがメリットです。

田代:本当に連動してうまくやれると非常にメリットがありますが、実現するのはなかなかハードルが高いですよね。

郡司さん:要は、メーカーとして宣伝部や営業部がこの商品をプッシュしようという商品が、Matsukiyo Adsのようなものだと対象になりやすいということですね。

田代:なるほど。ちなみに、「ギャツビーボディペーパー」のような商品だと、全国的に展開すると思いますが、その前にもリテールメディアを使って露出を増やしたり、何かアクションを取る時に適した商材はありますか?

郡司さん:アプリなどでパーソナライズを進める場合、ニッチな商材が対象となります。たとえばペットのノミ取りのような商品を宣伝する際、現在ペットのノミに悩んでいる人は、生活の中で100人に1人いるかいないかだと思います。

しかし、そのような人に商品を届けることができれば、その商品を扱うメーカーや小売店にとっては喜ばしいことです。アプリやサイトを通じてパーソナライズし、ニッチな市場にリーチできれば、規模は小さくとも売れる数は多くなります。

そのため、極端な例としては、契約を結び、そのルートを経由して商品が1個売れるごとに一定の金額をバックするリベート契約もありだと思います。

事前に支払うのではなく、成果報酬型で進めるのも一つの手だと思います。

田代:そうすると、営業予算で対策する感じですね。

郡司さん:そうですね。広告予算に頼らずに進めることで、より迅速に対応できます。

田代:広告予算を取ると、やはり桁が違いますよね。皆さんが狙っているところですが、実際はなかなか難しいですよね。

郡司さん:結局、小売の売上を上げるか、メーカー全体の売上を上げるかしない限り、どこでお金を稼ぐのかと言われても、どうにもならないのです。

■出典:セミナー資料より抜粋

私がアドバイザーを務めている会社が、ヤクルトさんを公開事例として取り上げた際、彼らが行っていたことがあります。

具体的には、店舗の天井にAIカメラを設置し、棚の前で顧客がどのように行動しているかを観察します。たとえば、「この商品に触れた」「この商品には触れなかった」「この商品の前で何秒立ち止まった」といったデータを収集し分析します。

そして、「この商品は興味を引いているが売れていないので、販売戦略を変えるべきだ」とか、「そもそも興味を引いていないので、販促物を変えた方がいい」といった提案をします。

これは、ヤクルトさんが以前から行っていたPOS分析や、棚割り調整、アイトラッキング(メガネにセンサーを取り付けるなどして視線を追跡する技術)を使った売場の改善と同様のアプローチです。滞在時間を測定するこのサービスを利用して、売場を変更しました。

この話は、単なるリテールメディアの話ではなく、データを活用して売場を効率化しようというものです。例えば、乳酸菌カテゴリーの売上が全体で116.3%になったというデータがあれば、その1店舗での成功事例を水平展開できます。

これはスーパーでの話ですが、この棚割りパターンを他のスーパーマーケットでも採用することで、全体の売上が向上するでしょう。

つまり、顧客の行動とコンテンツを適切に組み合わせることで、成果を上げることが可能です。このような取り組みにはコストがかかりますが、データに基づいた再現性のある戦略ですので、リテールメディアを使用する際には、データの使用方法が非常に重要だと思います。

田代:そうですね。単に宣伝広告費を取る、あるいは売上を増やすという話に留まらず、テクノロジーの進化に伴い、取得できるデータが増えています。

これらのデータを活用して事業を改善できるのであれば、積極的に活用しましょうという方が、絵に描いた餅になるリスクは少なくなると、今日の話で感じました。

郡司さん:リテールメディアはあくまで手段です。よく「手段の目的化」と言いますが、リテールメディアの販売自体が目的になってしまうことが問題です。

田代:先ほど、特定の店舗で成功したパターンを別の場所にも適用する話がありましたが、そのデータはリテール側が提供しているのですか?

郡司さん:はい、ヤクルトさんからの経費を受け取り、その取り組みを行っています。小売側の要望は、特定のコーナーで行う場合、そのコーナー全体の売上げが上がることです。

例えば、ヤクルトが5000円増えたが、チルミルが5000円減った場合はダメです。小売側としては、Aが売れてもBが売れても構わないのですが、売り場全体の売上が上がることに価値があります。

そうなると、小売の人たちが話を聞くようになります。メーカーとしては、営業活動によって売り場全体が上がることは歓迎です。そのため、メーカーが資金を提供するモデルになるでしょう。

■出典:セミナー資料より抜粋

郡司さん:よくあるのは、デジタルサイネージを導入して、そこでメーカーの広告を流すことです。しかし、広告収入が得られず、プロジェクトが続かないことが多いです。

成功例を挙げると、例えばココカラファインでは、6~7年前にポスレジを導入しました。このとき、お釣りの額や購入額を表示する部分を縦長のサイネージに変え、メーカーとチラシに関する商談の際に広告スペースを提供しました。これが意外とすぐに売れました。

要は、レジの最後の瞬間に情報を提供することで、運用コストを賄い、簡単に運営できるようになったのです。

専用の大型サイネージを設置するよりも、より手軽に実現できます。また、メーカーの広告費に依存せず、自社の取り組みや商品を宣伝することも可能です。

田代:面白い事例ですね。

郡司さん:重要なのは、メーカーが協力している姿勢を示すことです。チラシ共産品はその一例です。

お互いに協力することで、商品部が力を入れて店舗に案内し、良い場所を確保できることがあります。これは営業の一環ですね。

■出典:セミナー資料より抜粋

郡司さん:リテールメディアが国内で広がっていく可能性は大いにあると思います。例えば、まだ全然普及していないですが、魚売場に行った時に「旬のサンマが美味しいですよ」というポップが出てくるようなタブレットカートです。

これはまさに買い物をする瞬間に魅力的な商品の情報がちょうどいいタイミングで出てくるという、実店舗ならではの価値を生み出すものです。そのような可能性は十分にあると思います。

田代:全体的には、店内で、売り場に実際にいて買い物をする瞬間に、リテール側が準備した商品にお客様をうまく誘導するような流れが強いですよね。

郡司さん:メーカーが推奨する商品でも、クーポンを提供している店舗であれば可能です。例えばビールを買う際、メーカーを特定していない人は結構います。

ビール売り場に行った時に、タブレットやスマホを使用して、『今、キリン一番搾り6缶パックに100ポイント付きます、お客様限定』と案内されたら、特に飲みたいものがなければ、それを選びますよね。

このようなケースでは、成果報酬型の広告で、メーカーから広告費を得ることは十分に可能です。

田代:なるほど。店内でデータが収集できたり、迅速にさまざまな施策が実行できるようになると、デジタル化が加速していくわけですね。

郡司さん:そうですね。他のデジタル施策と連動して進められると良いでしょう。

田代:ありがとうございます。そして、デジタル技術自体よりも、リテール企業が新しい挑戦をうまく進めていく上で、もっとスムーズに取り組めるような方法があればいいのにと思います。

もしそのような点について何かアドバイスがあれば、最後にぜひ教えていただければと思います。

郡司さん:ポイントは人事評価だと思っています。例えば、商品部の人事評価が今まで通り、リベートがいくら取れたか、どれだけ安く仕入れられたかだけを基準にすると、進展は難しいです。店舗側も同様です。

要するに、いくら頑張っても評価されないと、やる気を失ってしまいますよね。そこはしっかりと評価する必要があります。そして、これはメーカー側にも同じことが言えます。

例えば、最近リテールメディアで話題になっているような話が小売業界から出ているので、「私たちが新しく始めたアプリでリテールメディアを展開しているから、メーカーさん、広告費を出してくれませんか?」といった話が営業部に言われることがあると思います。

しかし、営業部は広告予算をあまり持っていません。ですが、宣伝部と協力して対応することができれば、例えば1億円程度を宣伝部に移すことが、宣伝部の人たちの評価に影響せず、むしろプラスになるような話になれば、協力が得られるでしょう。

したがって、分断されている部分をどう繋ぐかは、小売業やメーカーの経営者にとって重要な責任です。

田代:確かに、評価が変わらなければ、その取り組みの意義が見出しにくくなってしまいますね。

郡司さん:結局のところ、メーカーと小売りが変わらなければ、成功は難しいです。

質疑応答

質問1:リテールメディアにおいて、クライアントを獲得する主要なプレイヤー(例えば広告代理店や小売の商品部門など)が複数存在します。これらのステークホルダーが一つの財布(予算)に対して関わる場合、理想的な内訳のバランスはありますか?

郡司さん:広告予算の話だけで言うと、結局財布を持っているのは、ここで言う宣伝部だけなんですよね。つまり、誰がお金を出すかと言えば、この宣伝部の人たちです。

では、このお金をどう分配するかという質問だと思いますが、極端な話、先ほどのように、元々広告代理店を通して行っていることの効率化を図るという視点であれば、少なくとも、その費用対効果を上げるための取り組みですので、このお金が広告代理店に流れるというのはおかしい話です。

普通に考えて、そういう流れにはなりません。ここは元々出している広告を出す、それを手伝ってもらう、クリエイティブを作るのを手伝ってもらう、という部分に関連しており、それを新しいメディアでより効果的にしようというのがリテールメディアの役割です。

新しいチャンネルであるため、お金が増えるという話とは少し異なります。

ただ、マスメディアについては、今まで通りのメディアが大きくなると思います。たとえば、メーカーの宣伝部から営業部にお金を渡してもらい、小売側の商品部や営業企画などの部門とやり取りしてうまくいけば、単に広告効果があるだけでなく、店の棚を多く取れます。

店の棚を多く取ることができれば、そこからここにお金をどう分配できるかは、各メーカーによって異なるでしょう。

もしリテールメディア、特に店頭でのリテールメディアにお金をかけるメーカーがあれば、他のメーカーよりも強くなります。

マツキヨにおいては、新しい商品企画部署が設立されました。新しい小売の連携を担う部署ですね。

田代:そういった部署がなければ、小売業界は上手く機能しないかもしれませんね。

郡司さん:もちろん、この新しい部署の人たちは広告代理店とも関わる必要があります。

どのようなクリエイティブが効果的か、どのチャネルが良いかといったやり取りも発生します。それにより、広告代理店はより効果的なクリエイティブやチャネルを選ぶことができるでしょう。

田代:リテールが持っているECサイトのトラフィック量も重要ですよね。

郡司さん:重要なのは検索連動機能を利用して、ユーザーのニーズに合わせた情報を提供することです。

問題は、どうやってアプリの検索サービスをより多くの人に使ってもらうかです。

今日は触れませんでしたが、アメリカのウォルマートのような大規模の店舗では、アプリを使って商品を検索することが普通です。例えば、「ハンドクリームが欲しい」と思った場合、検索するとすぐに商品を見つけることができます。

ハンドクリームを検索すると、「これらの商品があります。どれが良いですか?おすすめはこれです」といった具体的な情報が表示されます。そして、「この商品はどこにあるの?」と尋ねると、「Aの5番の棚にあります」とアプリ上で簡単に案内してくれます。

さらに、店内の地図が表示され、自分の位置と商品の場所が示され、Googleマップのように近づいていく様子がわかります。

このように、検索機能を使ってアプリを活用するわけです。そして、その際に広告を表示するのが良いでしょう。

田代:結局、日本の店舗ではスペースが限られていますよね。例えば、店内で商品を検索したときに、すぐに使う必要がなければ、後で届けてもらうという方法もありますよね。

郡司さん:それは全然ありだと思います。取り寄せ依頼をするアプリを作れば、3日後に届いても問題ないですよね。それは十分にあり得る方法です。

田代:そういったことを含めて、デジタルを活用してスペースの制限を超えれば、新しい可能性が開けるかもしれませんね。

郡司さん:そうですね。オムニチャネルというのは、店頭の制約を超えることにより、ECだけでなく企業全体の成長を目指すものなので、それが重要だと思います。

田代:なるほど。本日のイベントはこれにて終了いたします。皆様、ご参加いただきまして、ありがとうございました。

まとめ

今回はリテールメディアを導入するメリットや課題、将来性など様々な観点について、ドラッグストア業界を軸に置いたセッションが行われました。リテールメディアの導入や運用について悩んでいましたら、ぜひ当社にお問い合わせください!😊