GA4(Googleアナリティクス4) を使ったアプリ計測に関する基礎知識
メグリでプランニングを担当している篠キチです。個人的に別のアカウントでnoteを書いたりもしているんですが、MGReのサービスに関わることはこっちのnoteに書くことにしました。
今回はMGReを使っていただいているお客様からも問い合わせや質問が多い、GA4を使ったアプリ計測に関するお話です
アプリのGA4に関するウェビナーをしました
いきなり宣伝くさいスタートですが、2022年9月末にアユダンテの藤田さんをゲストにお迎えして、アプリのGA4に関するウェビナーをやりました。
当日はMGReを使っていただいているお客様も含め、多くの方に視聴いただきまして、アプリのGA4に対する関心の高さをあらためて感じることができました
ウェビナーの内容はアユダンテさんのYouTubeチャンネルで公開されているのでお時間あればご覧いただきたいんですが、ウェビナーの最後で行った質疑応答やその後にお受けしたご質問などを見ていて、根本的な話としてアプリのGA4に関する情報が少なく、あまりみなさんの理解が進んでなくて、どうしたらいいかわからないという状況に陥ってる感じがしました
このnoteでは、そもそもアプリのGA4ってなんなんだってあたりから情報を整理してみようと思っています
元々GA4はアプリ計測のために作られたもの
ユニバーサルアナリティクスの終了がアナウンスされて以来、GA4のことを独自に調べられる方が増えて、「GA4ってアプリの計測もできるんですね!」とか「アプリとWebを横断的に分析したいです!」というお話をいただくことが多くなりました。
アプリ・Webの横断分析(統合分析) に関してはいろいろ思うところあるのでまた別で書きますが(→ 書きました)、そもそもGA4ってアプリ計測のために作られたものってところから実はあまり知られてないように思います。
GA4のもとになったのは、アプリ用のFirebase Analyticsという分析サービスです。
実はアプリ用のGAもあったんですが、2019年に終了しています。GA360を使っている場合は経過措置として利用を継続できたんですが、ユニバーサルアナリティクスの終了に伴って完全に終了することがアナウンスされてます。このあたりのことはアユダンテの土屋さんが当時書かれてた記事に詳しくまとめられています。
このとき代替サービスとして指定されたのがFirebase Analyticsで、これをGoogle Analyticsで見られるように連携できる機能がリリースされました。これが当時『Googleアナリティクス for Firebase』と呼ばれていたものです。
このWeb担の記事にもありますが、Googleアナリティクス for Firebaseと時期を同じくしてGoogleアナリティクスに『アプリ + ウェブ プロパティ』というのが追加されます。FirebaseをGAに連携させると自動的にこのプロパティが選択される仕組みになってたんですが、これがのちにGA4と呼ばれるようになりました。当時のことはやはりアユダンテさんが記事にされてます。
UA廃止の話と、GA4によるアプリ計測は無関係
このように元々GA4はアプリ計測用に作られたもので、Webがあとから来てます。そのためユニバーサルアナリティクス(UA) が廃止されてGA4に強制移行する話と、GA4によるアプリ計測の話は基本的に関係ありません。
Googleアナリティクスのアカウント(Googleアカウントではないですよ) にはUAとGA4のプロパティを混在させられますし、Web側がUAのままだったとしても、新規でGA4でアプリの計測を始めることにとくに支障はありません。
(Web側でUAしか使ってないなら、GA4と併用可能なので早く使い始めた方がいいとは思いますが)
アプリでGA4を使った計測を始める場合は、もともとFirebase Analyticsだったことからもわかるように、アプリにFirebaseのSDKを入れるところから始まります。
アプリ用のGA4導入は大変
しかしWebと違ってアプリのGA4導入は一筋縄ではいきません。そもそもFirebaseのSDKをアプリに組み込めないと話が始まらないわけですが、アプリをスクラッチ開発ではなく何らかのプラットフォームをベースにして開発していたり、SaaS型のサービスを利用している場合だったりするとSDK組み込みがそもそもNGということも考えられます。
ちなみにMGReは大丈夫です。GA4対応してます。
また、FirebaseはSDKを入れるだけで勝手にいろいろ計測してくれる! みたいな触れ込みもちょいちょい見かけますが、そのつもりで実装すると「思ってたんと違う」という事態になることうけあいです。
確かにアクティブユーザー数や新規の開始ユーザー数など、自動で収集してくれるようになってますが、Webで長らくUAを使って来た人が想像するような「画面ごとのPV計測」なんかは自動ではまったくやってくれません。
Webなら計測タグを埋め込むだけで計測してくれるので当然できてくれると思いがちですが、これをやるためにはPVをカウントできるようにアプリ開発側が全画面にイベントを仕込む必要があります。これが大変。
Firebase SDKの組込み
各画面のPVや、コンバージョン計測に必要なイベントの設計・実装
といったことをやって、はじめてアプリのGA4計測が可能になります。
GA4側でデータストリームを追加する必要は無い
アプリのGA4計測を行うとき、分析の担当の方が気を利かせてアプリ用のデータストリームを追加しようとして、その設定をいろいろ聞かれることがあります。
基本的にこれは対応不要です
なぜかというと、アプリでGA4計測をするときは必ずFirebaseのSDKを入れなくちゃいけなくて、それをやろうとすると必ずFirebaseのプロジェクトを作らないといけないんですが、このときに連携するGAのプロパティを入力するフローがFirebase側にあるからです。こちらからやったほうが圧倒的にラクだし、間違いがない。
この連携はFirebaseのプロジェクトの権限を持っているGoogleアカウントが、連携先のGAのアカウントに対して権限を持っていればOKで、GA側ではプロパティを作るところまでやっておいてもらえればそれで十分です。
(権限があれば連携するときに専用の新規のプロパティをFirebase側で作ることもできます)
アプリ用Googleタグマネージャーの誤解
あまり知られていませんがWebの世界では欠かせない存在のGoogleタグマネージャーにはアプリ用も存在しています。
で、アプリでGA4を使いたいという話と合わせて、アプリにGoogleタグマネージャーを入れてください、って依頼が来ることがあります。
結論としてはアプリのGA4計測にタグマネージャーの導入は不要です
この誤解は、Googleのこのページの説明がわかりにくくて、GA4導入にはタグマネージャーが必須な感じがしてしまうからかも、と思ったりしてます
Webでタグマネージャーを使い倒してる人がこのページを読むと、アプリ用のGoogleタグマネージャーを導入することによって、WebみたいなJavaScriptのコンテナを自由自在にアプリに追加できてめちゃくちゃ便利な世界を想像しちゃったり、GA4に関してもあとはWebと同じGAタグを入れるだけみたいな勘違いが起きてしまってるような気がします。残念ながら全部勘違いです。
そもそもアプリ用のGoogleタグマネージャーの導入って、FirebaseのSDKを入れないといけないんです。だったら普通にFirebase Analyticsを実装しちゃえばいいって話ですし、あとこのへんは僕も詳しくないんですが、アプリ用Googleタグマネージャーを使ってできるGAのタグ設定(実際にそういうタグは用意されてます)ってFirebase計測イベントの修正とかに限られてる感じになってます。
ここでできることってGA4のデータストリームの設定側でできる「イベントの変更」と同じなんじゃないかと思ってたんですが、Googleのサポートページにやはりそのようなことが書かれてました。
そうなるとGA4側の設定だけでできてしまうので、GA4のためにアプリ用タグマネージャーを入れるという選択肢にほぼ意味はないことになります。
【PR】MGReはGA4に標準対応しています
また宣伝くさい、というかモロに宣伝ですが、アプリプラットフォームMGRe(メグリ) はGA4に標準対応しています。MGReでアプリを作ると、必要なSDKの組み込みや、面倒な計測設計も済んでいて、あとは自社のGAプロパティに連携させるだけ。すぐにGA4でアプリの分析を始められます。
さいごに
今回はGA4を使ったアプリ計測に関して、よく聞かれることとか、誤解されやすいポイントをまとめる感じで書きましたが、ずいぶん長くなってしまったので、GA4の特長でもあるアプリ・Webの横断分析(統合分析) については次の機会でまとめてみたいと思います。
【追記】書きました
あとGA4に関してよくわからない、基礎から学びたいという方にはウェビナーにも登壇いただいたアユダンテ藤田さんも執筆者として名を連ねているこの本、おすすめです
今回はGA4に関してまとめた記事でしたが、これに限らずアプリ開発に関するお役立ち資料、いろいろそろえております
またアプリ開発全般やGA4を使ったアプリ計測のことなどわからないことあれば、まだアプリ開発するのは先の話とか、そういうことは気にせずお気軽にお問い合わせください