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【最新】米国の小売業事例から見る「買物価値」 | 今求められる顧客とのつながりとは?| セミナーレポート<パート1>

2022年11月9日(水)に、株式会社顧客時間 共同CEO/取締役、オイシックス・ラ・大地株式会社 COCO奥谷 孝司 氏がゲスト登壇した、共催ウェビナー【今求められる顧客とのつながりとは? 〜先進リテール事例に学ぶ「顧客体験」のリアル〜】を実施しました。

海外事例を交えた顧客体験のリアルからOMOを実現するための秘訣まで、最新のリテール事例をご紹介。

今回は、セミナーレポート3部作としての第1部、『【最新】米国の小売業事例から見る「買物価値」』をお届けします!


話し手

株式会社顧客時間
オイシックス・ラ・大地株式会社 
奥谷 孝司 氏
1997年に良品計画へ入社。2010年にWEB事業部長に就任し、「MUJI passport」の立ち上げに関わる。 2015年にCOCOとしてオイシックス・ラ・大地に入社。 2017年にEngagement Commerce Labを設立。 2018年に顧客時間共同CEOに就任。 2020年からLazuli株式会社の顧問としても活躍中。


記事のポイント

●「Amazon Fresh」最大の特徴は、テクノロジーとオフラインをかけ合わせた顧客体験を提供する

● 今後の小売業には買物価値×テクノロジーの適正なバランスを見極めることが求められる

● 適切なテクノロジーレベルを見極めるためには「Human touch technology(ヒューマンタッチテクノロジー)」が重要


はじめに

楽しいリアル店舗体験とテクノロジーの融合を、どの程度のバランスで進めていくのがお客様にとってベストなのかという永遠の課題があります。

今回は、この課題について米国小売業の最新事例から紐解いていきましょう。

最初に、米国小売業の最新事例として「Amazon Fresh」をご紹介します!


米国小売業の最新事例「Amazon Fresh」に学ぶ顧客体験

「Amazon Fresh」とは、ネット通販最大手のAmazonが運営する食品スーパーのことです。
日本ではネットスーパーとしてサービスが展開されていますが、米国をはじめとした海外では、実店舗が運営されています。
実店舗での「Amazon Fresh」最大の特徴は、テクノロジー=オンラインとオフラインをかけ合わせた顧客体験を提供する点です。

①オンライン:Amazonアプリを立ち上げ買物カートにタッチ
②オフライン:店舗で商品を選択
③オフライン:買物カートに商品を入れたまま専用ゲートをくぐる
④オンライン:Amazonアプリにて決済
⑤オフライン:AIが自動で次の買物リストを作成

このように、実店舗の「Amazon Fresh」は、オフラインとオンラインをうまく組み合わせて顧客に購買体験を提供しています。
結果、商品を選択してから使用するまで、点ではなく線で顧客一人ひとりひとりの買物時間に寄り添うことができるのです。

■出典:奥谷孝司・岩井琢磨「世界最先端のマーケティング~顧客とつながる企業のチャネルシフト戦略~」日経BP、2018


米国小売業から見る買物価値と技術レベル

米国小売業は、テクノロジーとリアルをうまく組み合わせています。顧客自身も店舗とECを使い分けたりアプリを活用したりして、買い物時間の価値を高めています。

では、先ほどご紹介した「Amazon Fresh」「Amazon Go」を含め、小売業別に縦軸を買物価値(※1)、横軸を技術レベル(テクノロジーレベル)としたマトリクス図を見てみましょう。

■出典:【2022夏 USリテールレポート】Human touch technologyで買物価値を上げよ(https://pj.prismatix.jp/prismajournal/articles/220908/

「Amazon go」と「Amazon fresh」は最先端のリテールテクノロジーを導入してきたため、右側の象限に位置します。
しかし、品揃えや店舗体験に重点をおいた「Amazon fresh」は、「Amazon go」よりも買物価値が高いといえるでしょう。

加えて、以前からリアル店舗での買物価値が高い「Walmart」や、アナログ運営な店舗とECや受け取りサービスなどのテクノロジーを上手く掛け合わせている「Wegmans」「WHOLE FOODS」などが、高い買物価値を提供しています。

ここで注目して欲しいのが左上の事象にある「TRADER JOE’S」です。
食に意識が高い顧客を魅了する米国のスーパーで、ワクワクする買物体験とPB商品の提供を行っています。
しかし、自社のECサイトもないほどデジタル化がほとんど進んでいません。

マトリクス図を見ると、よく右上の象限を目指すべきだと考えられがちですが、果たしてそうなのでしょうか?
「TRADER JOE’S」は、左上の事象にありますが、多くの顧客に愛される大人気スーパーです。
これらから分かるのは、買物価値の向上なくして、店舗・小売業は成立しないということ
買物価値の高さを維持することを前提とし、その補助的な役割としてテクノロジーの活用が重要だと言えます。

つまり、買い物価値×テクノロジーの適正なバランスを考えなくては、オーバーテクノロジー(※2)となってしまい、買物価値を下げてしまいかねません。

コチラの記事で、「Amazon go」と「Amazon fresh」の比較から見るオーバーテクノロジーに関して、詳しく説明しています!
ご興味のある方は、ぜひご一読ください。
【2022夏 USリテールレポート】Human touch technologyで買物価値を上げよ

本末転倒な結果にならないよう、自社に見合った買物価値×テクノロジーの適正なバランスを見極めることが大切です。

※1 買物価値:ここでは、充実した品揃えやPB商品の充実、店員による接客といった従来ある買物価値のことを指します。

※2 オーバーテクノロジー:テクノロジー過多のこと。一般的な人にはついていけないほどの技術を指す。


「Human touch technology(ヒューマンタッチテクノロジー)」の重要性

これまで紹介してきたように、適切なテクノロジーレベルを見極めるためには「Human touch technology(ヒューマンタッチテクノロジー)」が重要です。

「Human touch technology」とは、人間味のあるテクノロジーのこと。
技術力が高ければ良いという訳ではなく、人同士の信頼を技術を通して深めていくことに価値があるとしています。

例えば、米国の大手小売業の「Walmart」は、「インフォームデリバリー」というサービスの実験を始めました。
顧客がネットで商品を注文すると、顔の見える「Walmart」の社員が自宅の冷蔵庫に商品を保管してくれるというもの。
テクノロジーと人(ヒューマン)を上手く融合させた結果、米国では顧客とスタッフの信頼関係が成り立っています

■出典:【Amazon Fresh】、アマゾン新スーパーの最先端ハイテクカートで買い物したら凄かった!(http://blog.livedoor.jp/usretail/archives/52100442.html

このように、人同士の信頼関係をテクノロジーを通して実現していく時代がすぐそこまで来ています
テクノロジーさえ進化させればよい訳ではありません。適切なテクノロジーレベルを見極めるためにも、「Human touch technology」をぜひ意識してみてください。


まとめ

今回は、セミナーレポート3部作の第1部として、『【最新】米国の小売業事例から見る「買物価値」 』をお届けしました!

ぜひ買物価値×テクノロジーの適正なバランスを見極めながら、DXを進めていただければと思います。

次回は第2部『オンラインIDの重要性とDXを成功に導く方程式とAlvinのことば』をお届けします!
お楽しみに!

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