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リテールトレンドWEEK2023【事業成長につながるリテールDXの3ステップとは】|セミナーレポート

2023年2月7日 (火) ~ 9日 (木)に、小売流通・食品業界の今が分かる特別オンラインカンファレンスとして開催されているリテールトレンドWEEK2023。

今回は、リテールDXをテーマに講演を行った際のセミナーを、レポートとしてお届けします!


登壇者


メグリ株式会社代表取締役
田代 健太郎

新卒でSIERに入社し、R&D部門に従事。2003年株式会社メンバーズ入社し、大企業のWebサイト構築にエンジニア・プロジェクトマネージャーとして参画する。2007年に株式会社ランチェスター(現:メグリ株式会社)を創業。企業のWebサイトやアプリの受託開発実績を重ね、2020年にSaaS型アプリマーケティングプラットフォーム「MGRe (メグリ)」のサービス提供を開始。

はじめに

近年、「DX」という言葉を耳にするようになって、それなりの時間がたちました。

多くの企業がさまざまな取り組みをしているかと思いますが、DXが順調に進捗している企業はそれほど多くはないように感じます。

本日は、DXをどのように進めていけばいいのか
リテール企業に絞ってそのステップを三段階に分けて紹介したいと思います。

本セミナーが少しでもみなさまのお役に立てれば幸いです。

そもそもDXとは?

リテールDXの話を始める前に、まずはDX(※)の起源について紹介します。

DXは、ウメオ大学(スウェーデン)のエリック・ストルターマン教授が、2004年に提唱した「ITの浸透が、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる」というコンセプトが起源だとされています。

※DX:Digital Transformation(デジタル トランスフォーメーション)の略で、企業がAI・ビッグデータ・IoTといったデジタルの技術を用い、業務改善や新ビジネスの創出、レガシーシステムからの脱却などを行うことを指す。

また、2018年9月に経済産業省が発表したDXレポートでは、「2025年の崖」という日本の未来に対する警鐘を示すキーワードが提唱されていました。

加えて、以下の課題を抱えている日本。

  • 既存システムが、事業部門ごとに構築されて、全社横断的なデータ活用ができなかったり、過剰なカスタマイズがなされているなどにより、複雑化・ブラックボックス化

  • 経営者がDXを望んでも、データ活用のために上記のような既存システムの問題を解決し、そのためには業務自体の見直しも求められる中(=経営改革そのもの)、 現場サイドの抵抗も大きく、いかにこれを実行するかが課題となっている

■引用:DXレポート ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開

上記の課題を解決できない場合は、2025年以降、毎年12兆円の経済的損失の可能性があると示唆されています。

■出典:DXレポート ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開

つまり、DXを実現するためには、2025年の崖を越えて、ブラックボックス化・複雑化した既存システムを仕分け・刷新することが重要です。
経済産業省のDXレポートでは、DXを実現できれば「GDP130兆円超え」まで押し上げることができるとされています。

リテール企業にとってのDXポイント

DXの概要についてお伝えしましたが、ではリテール企業にとってのDXポイントは何なのでしょうか?
それは、「業務効率化(Employee Experience)」×「顧客体験の改善(Customer Experience)」です。

これを経営視点で考えると、
・業務効率化(従業員にとっての体験改善)=利益の向上につながる
・顧客体験の改善(お客様にとっての体験改善)=売上の向上につながる
となり、
リテール企業にとってのDXポイントは、
「利益の向上」×「売上の向上」ととらえられます。

つまり、DXとは経営アジェンダだと言えるのです。

リテールDXの3ステップ

次に、リテールDXをどのような手順で進めていくとよいのか、MGReの考える3ステップを紹介します。

ひとつめのステップは、「既存事業の課題解決」です。まずは、すでにある事業の問題点を洗い出し、それを解決することに重きをおきましょう。
そして、ふたつめのステップ「データ経営への変革」を行ったあとに、みっつめのステップ「新規事業の創出」です。新規事業として新たな収益源を生み出していくのもDXの範囲内だと、MGReは考えています。

では、それぞれのステップについて詳しく見ていきましょう。

1st ステップ:既存事業の課題解決

リテール企業の現場から、よく以下のような相談をいただきます。

  • お客様からの問い合わせ対応に時間を要する

  • ポイントの後付けなど煩雑な運用に時間をとられる

  • 効率的な販促ができない

このような課題があると、お客様側に以下のような不便をかけることになりかねません。

  • 何度も会員登録させられる

  • せっかくためたポイントをECで利用できない

  • いつも買物しているのにサービスが悪いと感じる

結果、お客様は「新しいサービスを使いたくない」「ネットで買うならブランドのECではなくモール(※)の方が良い」と感じてしまうのです。

※モール:モール型ECサイトのこと。複数の店舗が集まったショッピングサイトのことで、楽天ショッピングやAmazonなどが代表的。

では、上記の課題の背景には何があるのでしょうか。
それは、「アプリ」「EC」「店舗」といったチャネルが垂直に立ち上がっている点です。各チャネルごとに顧客データベースが存在するので、顧客管理もバラバラ。
結果、お客様のチャネルをまたいだ行動が把握できず、企業側には業務負担がかかり、お客様側もよりよいサービスが享受しづらい、という双方にとってよくない状態となってしまいます。

このような課題を解決するためには、「会員統合」が非常に有効です。

すべてのチャネル(サービス)で共通のアカウントをお客様にご利用いただくことで、チャネルをまたいだ顧客行動が一元管理できるように。
結果、お客様にスムーズなサポートを提供することができます。

ここでひとつ、会員統合を進めるうえでのよくある失敗ステップを紹介します。
それは、「プラスチックカード向けのポイントシステムを会員統合データベースとして利用する」というもの。

理由は、インターネット接続を前提としていないために会員認証・拡張性・セキュリティ・スケーラビリティといった、インターネット接続前提のシステムが機能しなくなる、つまり非機能要件(※)に対応できないためです。
結果、お金も時間もかかり、会員統合に向けて遠回りをしている状態になり、冒頭で紹介した2025年の崖に陥ってしまいます。

※非機能要件:システムを構築するにあたり、性能面やセキュリティ面等において実現するべき要件であり、顧客が潜在的に持っている「隠れた要件」のこと。逆に、検索機能や自動通知機能など、表向きに実装される要件は機能要件と呼ばれる。


【まとめ】1st ステップ:既存事業の課題解決

  • 既存事業の課題解決のためには、会員統合が重要

  • 会員統合をすることで「業務効率化業務効率化(Employee Experience)」×「顧客体験の改善(Customer Experience)」を進められる


2nd ステップ:データ経営への変革

データ経営が必要となる背景には、消費者行動の多様化・環境変化のさらなる加速があります。

そもそもデータ経営とは、「勘」や「経験」に頼らない事実にもとづいた判断のこと。すべての従業員が事実にもとづいた判断ができる環境を整えておくことが、データ経営の本質なのではないでしょうか。

このデータ経営を実現するために必要な条件・機能は、以下のふたつです。

  • データをもとにお客様の理解を深められる

  • データをもとに簡単に施策のPDCAを回せる

上記ふたつを実現させるためには、統合会員データベースに紐づく会員IDをカギとした、お客様の属性・購買・行動といったデータが必要です。
そして、このような顧客データを一元管理する仕組みが、データ経営には必要なのです。

具体的な全体イメージとして、以下の図をご覧ください。

各システム(会員DB、CRM、POS、ECなど)の情報をひとつのデータプラットフォームに蓄積することで、チャネルをまたいだ顧客の行動を一元管理が可能に。
結果、蓄積された顧客データから特定のセグメントを抽出・分析することができ、各施策にすぐ活かせるようになります。
このように、ライトに施策実行ができる仕組みが非常に大事です。

ここでひとつ、よくある失敗ステップを紹介します。
それは、「後から応用がきくので、高額かつ汎用的なツールを契約する」ことです。

目的を明確にしないまま高額なツールを契約してしまうと、いざ契約後に分析を行おうとしても使えるデータがない、という事態に。
その結果、活用がうまくできず解約となり「なんのための契約だったのか…」となる企業様が多く見受けられます。
このような事態にならないよう、ツール導入の際は、必ず活用イメージを明確にしましょう。

【まとめ】2nd ステップ:データ経営への変革 

  • データ経営には、すべての従業員が顧客理解を深められ施策のPDCAを簡単に回せる環境を整備することが重要


3rd ステップ:新規事業の創出

今までの取り組みにより環境変化に対応できる基盤が整い、今ある事業の改善も進んでいたら、いよいよのみっつめのステップ、収益を上乗せする新規事業の創出です。

ここで突然ですが、リテールメディアという言葉をご存じでしょうか?
リテールメディアとは、購買データや行動データなど、企業が自社で持つ顧客データをもとに広告を配信する手法のことで、以下のような特徴があります。

  • 米国では、リスティング広告・SNS広告に続く第三の波として注目される

  • 米国ではメーカーの広告出稿先が直近2年間で8%変化し、予算全体の25%を占める

  • 日本国内において、2021年から5年で約10倍の805億円の市場に成長するといわれている

  • イオン」「セブン&アイ」「マツモトキヨシ」などがすでに参入する非常にホットなマーケット

■出典:Retail Media 2022 What’s next for Digital Advertising’s Third Wave?


■出典:リテールメディア広告市場は2022年に135億円、2026年には805億円と予測

なぜここまでリテールメディアが注目されているのかというと、「三方よしの関係」であるためです。
リテールメディアは、「生活者」「広告主」「小売」の三方どちらにもメリットを生み出せる特徴があります。

ここまで、リテールメディアについて説明してきましたが、それは、リテール企業にとって、今までにない「新しい収益源の創出」という最大のメリットがあるからです。
すなわち、「新規事業の創出」が可能となるからです。

では、このリテールメディアを活用した新規事業を進めるために、リテール企業は何をしなければならないのでしょうか?
それは、「メディアのトラフィックを増やすこと」と「First Party Data(※)の整備」です。
このふたつが、リテールメディアを実現し新規事業を成功させるうえでの要件となります。

その際に、カギとなるツールが「アプリ」です。
アプリは、メディアそのものであると同時に、データ収集のツールでもあります。
先ほどご紹介した「メディアのトラフィックを増やすこと」と「First Party Dataの整備=データ収集」を実現させるためには、アプリを使ってよりよい顧客体験を提供することが大切です。

※First Party Data(ファーストパーティデータ):企業が、自社で収集した
顧客データのこと。

アプリが顧客体験向上に効果的な理由は、こちらの記事で詳しく解説しております!
アプリが顧客体験向上に効果的な理由と、体験の質を高めるアプリの作り方

【まとめ】3rd ステップ:新規事業の創出

  • アプリで顧客とのデジタル接点を増やすことで、リテールメディアで新しい収益を創出することが可能になる

まとめ

リテール企業にとってのDXポイントを紹介しましたが、最後にリテールDXに必要な3ステップのまとめです。

既存事業の課題を解決するという観点において、「会員統合」を実施し、お客様の情報を一元管理できる仕組みはとても重要です。
データ経営での変革では、経営者だけではなく、すべての従業員がデータを活用できる環境を整備していく必要があります。
そして、ファーストステップとセカンドステップを経て、リテールメディアを活用した新規事業の創出が可能となるのです。

MGReについて

最後に、少しだけMGReのことを紹介します。

「MGRe(メグリ)」は、アプリマーケティングプラットフォームとしてサービスを展開しており、サービス名は「Make good relationship」の頭文字をとったもの。
サービス名の通り、企業と顧客のより良い関係を支える(Make good relationship)をミッションに掲げております。

また、ノーコードの開発でありながら非常に高い拡張性を持つという特徴があり、成果を求める多くの企業様に選んでいただいております。

プラットフォームを持ち合わせているのと同時に、成果を求める多くの企業様に選ばれる理由として、「受諾開発で培ったコンサル力と開発力」「拡張性が高く安定した稼働実績」があげられます。

このようなチーム×プロダクトの総合力を武器に、お客様にとって理想の顧客体験の実現に向け伴走する、いわば登山でいう「シェルパ(※)」のような存在として、高い評価をいただいております。

※シェルパ:登山家を導く専門家のこと。山に関する知見をもとにルートを計画し、登山者とともに山を登り山頂へと導く。

さらにMGReのことが知りたい方は、ぜひこちらの記事をご参考ください!
はじめまして、MGRe(メグリ)と申します!~MGReのことがザックリわかる記事~

さいごに

ずっと求めていた顧客体験を、MGReと一緒に実現しませんか?

ぜひ、セミナー内での不明点や追加で知りたいことがあれば、お気軽にお問い合わせください。


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