リテール業界最新事例!NFCタグを活用した店頭施策の事例紹介
2022年9月15日(木)に、自社ウェビナー【NFCタグを活用した店頭施策の事例紹介】を実施いたしました。
NFCタグの解説から実際の店頭施策まで、幅広い内容となった当ウェビナー。
多くの方にご好評いただいたリテール業界の最新施策を、セミナーレポートとしてお届けいたします。
登壇者
NFCタグの概要
NFCタグとは?
「NFC」とは、Near Field Communicationの略で、近距離無線通信のことを指します。
NFCタグを活用すると、スマホなど読み取り可能な対応機器をかざすだけで、事前に書き込まれた情報を簡単に読み込むことができます。
例えば、マイナンバーカードなどを読み取る際、スマホをリーダーとしてかざすことで情報を読み取ることができます。(iOSの場合はバージョン13以降)
NFCタグのメリットは?
NFCタグのメリットは、大きく分けて3つあります。
一つ目は、電源が不要な点。そのため、NFCタグさえあれば、コンセントなどの電源が無い環境でも電池切れの心配なく稼働させ続けることが可能です。
注意点としては、金属面に使用すると動かない可能性があるということ。
金属面で使用したい場合は、電磁波干渉防止シートを貼ってからNFCタグを使用するとよいでしょう。
メリットの二つ目は、その手軽さゆえにユーザーの利用ハードルを下げられる点です。
ユーザーはスマホなどの端末を近づけるだけで情報を得られるので、QRコードのようにカメラを起動させる手間がありません。
最後三つ目のメリットは、低コストで実施できる点です。NFCタグは1枚、数十円から手に入れることができます。
また、直径が約2〜5cmと場所をとらないため、管理コストを下げられるメリットもあります。
(写真)実際のNFCタグの大きさ(左が約2cm、右が約4cm)。
スマホにかざす目的であれば約4cmの大きめサイズが最適。
NFCタグの利用方法は?
NFCタグには、さまざまなタイプの情報を書き込め、用途にあわせて幅広い活用が可能です。
【NFCタグで提供できる情報例】
・WebサイトのURL
・SNSの共有URL
・地図アプリによる経路表示
・空メール送信
・電話帳登録
・Bluetooth機器への接続
QRコードでできることは、基本的にNFCタグでもできます。
また、NFCタグにアプリの起動情報を投入することで、アプリを立ち上げることも可能です。
一方で、NFCタグによっては書き込める情報量が変化します。
例えば、容量が140バイトのNFCタグであればURLの文字数は約140文字まで書き込みが可能。
そのため、パラメータのついたURLなど、文字数が多くなる場合は注意が必要です。読み込んでもらいたい情報量に応じて、NFCタグの容量を変更するようにしましょう。
また、NFCタグへの情報書き込みは、NFCタグマティックのようなアプリから簡単に行えます。
タグへの書き込み量が多い場合は、専門の業者へ依頼するのもよいでしょう。
注意点として、NFCタグへの書き込みや上書きはスマホから誰でも行えます。
そのため、「書き込んだURLが書き換えられてしまう」「指定したマップの位置を上書きされてしまう」などのリスクを避けるため、店舗でNFCタグを使用する場合は、書き込みができないようにロックをかけておくのがおすすめです。
■出典:GooglePlay「NFCタグマティック」スクリーンショット
NFCタグの活用事例
次に、実際のNFCタグを利用した具体的な活用事例をご紹介します。
駅構内での活用事例
JR東日本では、NFCタグを活用し「駅のスタンプ」をデジタル化する試みを始めました。
NFCタグを埋め込んだスタンプ台を駅に設置し、タッチマークをスマホでタッチすると、スタンプの獲得ができます。
獲得したデジタルのスタンプは、スマホの画像保存機能で保存が可能です。
■出典:JR東日本ニュース
「NFCタグを活用した「駅のスタンプ」デジタル化の実証実験を実施します」(https://www.jreast.co.jp/press/2022/20220914_ho01.pdf)
新幹線内での活用事例
新幹線の座席に「JRE MALL(※)」 のタッチポイントとして、NFCタグを埋め込んだバナーを貼り付けています。
「ここにスマホをタッチ!」の部分にスマホをタッチすると、ECサイト「JRE MALL」に遷移する仕様です。
また、新幹線車内からアクセスしたユーザーに向け、限定クーポンの配信や観光情報・お土産特集ページを案内するなど、様々な施策を実施しています。
■参考:JR東日本ニュース「生活サービス事業のDXを加速します」(https://www.jreast.co.jp/press/2020/20201006_ho02.pdf)
店舗での活用事例1:商品棚に貼る
NFCタグを商品棚など商品の近くに貼ることで、「ECサイトの商品詳細を見てもらう」「商品(洋服)のコーデを案内する」「商品の口コミを見てもらう」「店舗の在庫確認を行う」「クーポンを付与する」といった、商品棚を活用した施策が可能になります。
例えば、NFCタグ経由でECサイトへ誘導した場合、その商品をお気に入りに登録してもらえれば、店舗でなくてもオンラインで後日購入してもらえるかもしれません。
在庫確認のシステムと連携すれば、店舗内の在庫をすぐに確認することも可能です。
店舗での活用事例2:店員呼び出し
店内の色々な場所に貼ってあるNFCタグをスマホで読み込むと、「店員呼び出しボタン」が出現し、すぐに店員を呼び出せる活用事例も。
手の空いているスタッフを店舗内で探し回ることなく、売り場にスタッフが駆けつけてくれます。
店舗での活用事例3:アプリ連携
NFCタグにスマホをかざしてアプリ内で店舗フォローをすれば、すぐに使えるクーポンを付与するといったアプリとの連携施策も可能です。その際の運用方法を具体的にご紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
【運用方法】
1. NFCタグに「来店している店舗の詳細(店舗の紹介)画面を開く」という情報を入れておく(情報の書き込みはNFCタグマティックから可能)
■出典:GooglePlay「NFCタグマティック」スクリーンショット
2. アプリを持っているユーザーがNFCタグにスマホをかざすと、いま来店している店舗の詳細画面がアプリ上ですぐに開かれる
3. 画面上で「店舗フォロー」を押してもらう(下画像:店舗フォローページの表示イメージ)
■参考:ニコル公式アプリより
4. あらかじめ登録してあった「店舗フォローをしてくれた人向けクーポン」がユーザーのアプリ上に届く(下画像:配布されるクーポンの表示イメージ)
■参考:ナルミヤ公式アプリより
一方で、アプリを持っていない人がNFCタグを読み込んでも、エラーが表示されず何も反応がない状態となるので注意が必要です。
その際、Firebase SDK(※1)というものがアプリに入っていれば、Firebase Dynamic Links(※2)を使ってアプリダウンロードへの導線を作ることも可能となります。
もしエラーが起きてしまった際には、こちらの方法も検討してみてください。
このように、店舗だけでは伝えきれない情報を伝えるために、NFCタグを活用する事例が増えています。
例えば、ブロッコリーを売っているスーパーの商品棚には、一般的に「商品名:ブロッコリー」「金額:238円」の情報が記載されています。
そこにNFCタグを設置しレシピサイトへ誘導することで、「ブロッコリーを使ったレシピ」の案内が可能となり、「店舗で確認できる情報にプラスアルファした内容を、かんたんに顧客へ届けることができるのです。
その他、具体的なNFC活用事例は以下のリンクをご確認ください。
■参考:AQUABIT SPIRALS(https://spirals.co.jp/ja/cases/)
NFCタグQ&A
セミナーの最後に、Q&Aを実施したところ、多くのご質問をいただきました。その中で、一部のQ&Aをご紹介します。
Q. 現在、NFCタグを活用しているのですが、なかなか反応しません。どうすればよいですか?
A. タグによって、反応しやすいものとそうでないものがあるのが事実です。対策としては、できるだけ大きいシールを使うと、NFCタグの読み取り感度が上がり反応がよくなるかもしれません。
Q. QRコードとNFCタグの違いを教えてください。
A. QRコードでできることはNFCタグでも基本的に実現できるので、ほとんど違いはありません。NFCタグはスマホをかざすだけなので、「カメラを起動する」というひと手間なく、情報を得ることができます。
Q. NFCのタグの利用にあたって、推奨端末の利用制限は気にしないでよいでしょうか?
A .特段気にする必要はありません。iOSは13以降(機種としてはiPhone7以降)で対応しており、Androidも国内に流通しているものであれば問題ありません。
まとめ
ユーザーにとってはワンタッチで簡単に情報を得られ、店舗にとっては低コストかつ電源不要のため設置場所を選ばないNFCタグは、自社と顧客双方にメリットがあります。
ぜひ店舗の施策として、ご紹介した内容を試してみてはいかがでしょうか。